あいのけもの

映画みたいな風景のこと、嘘みたいだろう?

それがやさしさでしょう?

もうすでに白湯を飲みながらドテラを着てパソコンに向かっています。こんばんは。


関東大学秋季リーグ終わりましたね。
祈って祈って、それだけしかできなかったけど、祈りは届かず。
でも東海大の彼らは力を出し切って、できるベストの試合をしてくれたな、ってそう思います。
中央大学、優勝おめでとうございました。
ただ、中央大が優勝に近づいてく瞬間を、東海大の彼らも会場のどこかで観ていたんだろうなっておもうと胸が張り裂けそうで、最後のほう、泣きながら試合を観てました。重いなわたし。

でも、ほんとうにほんとうに良い試合だったんです、東海大vs明治大
東海大の優勝に一抹の望みをかけるのであれば、東海大は1セットも落とせないこの試合。
前週の1敗を各々どのように感じ、咀嚼し、この日を迎えたのかはわからない。
それでもいつものような東海大だった。
いや、久原くんに関しては(というか主に久原くんばかり目で追ってるので他の選手もだったのかもしれない)、いつも以上の気迫を感じた。いつものような笑顔でありながら。

1セット目。
おや?メンバーをかえてきた?…?小野寺くんがいない!?なぜ!?そういえばアップのときもいなかったような…!?その時点でわたしは血の気が引いた。
もう1セット目も落とせないこの状況のなか、小野寺くんがいない。先週の敗けた試合で、小野寺くんは泣いていたという情報を見た。その悔しさを今日晴らすものだと。どんな理由にしろ、きっと彼は悔しがっているだろうなと。そうおもったら少し泣けた。
そうして久原くんがいつも以上に気合が入ってるのも納得がいった。きっと、背負っているんだ。二人分の、いやもっと言えば、控えの選手たちの思い、ユニフォームを着れなかった4年生の思いも、ぜんぶ。ぜんぶ背負って、コートに立っているのだと。
(あとから小野寺くんは怪我で応援席にいたという情報を得ました。久原くんが試合開始前、彼に向かって「俺に任せろ!」というジェスチャーをしていたということも。)
この日の久原くんは、いつもの安定したレセプション・ディグに加え、スパイク、サーブ、スパイク、すべてが良かった。
一方松林くんは気合いが空回っているのかな?っていう印象を受けたのね。彼の持ち味である豪快なスパイクもサーブも。サーブなんてほぼミスってたのでは、?そんななか最後のセットでの終盤、23点目か24点目でサービスエースを獲ったのは、なんというかもうさすがだなと。持っている。正直この試合、まつばのこのエースにすべて持ってかれた。憎い。(すき)あと変わらず神谷くんも健闘していてくれた。
各々がほんとうに良い動きだった。デュースになっても粘り続ける姿がよかった。
小野寺くんブロック賞、井上くんサーブレシーブ賞おめでとう。
そして久原くん、敢闘賞おめでとう。あなたにふさわしい賞です。
東海大の全員バレーな感じが、とても好きだ。

明日の天皇杯関東ブロックラウンドもがんばってほしいですね!現地で応援したいのはやまやまなんですが、明日はVプレミアの開幕戦行かなきゃなんないんでね…。
本日の開幕戦、パナと合成はDAZNで観戦!いや~クビアクとイゴールの一騎打ちになるのかと思いきやフカトゥーがうまくばらけさせましたね。さすが!山内くんの成長がうれしかったな。ヒロインは清水さん。きょうの清水さん本当に余裕があって、格好良さ増し増しでした。(マシマシといえばNICOの新曲MVに柳田くんと山内くん…!?まだ見れてませんっっ)

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話は戻るのですが。
久原翼という選手を好きになって、東海大の過去の試合もいろいろ観てきて、さあここらで高校時代も観とくか、みたいな気持ちになって(というのも月バレ2016年6月号で「高校のときはサーブレシーブがめちゃくちゃ下手でした」という彼のインタビューを読んで、うそやん!?それから練習して今の彼がいるのか!?みたいな気持ちになって観ようと思った。長い)、彼が高3のときの試合を観た。

わたしはそこで、彼の、彼の影を見た気がした。
笑顔といえば久原くん。久原くんといえば笑顔。そんなの今や彼を知るひと全員の共通認識だ。
そんな彼がね、1試合で1度たりとも笑わなかった。
春高3回戦、大村工vs市立尼崎。彼は市尼のキャプテンでありエースだった。

今の試合では、どんな場面でも彼は笑顔だ。劣勢の場面でも誰かがミスした場面でも。だいじょうぶ。1本とろう。切り替えよう。そう声をかけ笑う。心配ないと手をたたく。ハイタッチを交わす。笑って。それは彼の人柄なのだと。柔らかな笑顔の穏やかな人だからなのだと。
そんな彼が、じぶんが決めてもチームメイトが決めてもニコリともしない。ガッツポーズをして叫びもしない。ただ淡々と試合を運んでいく。TOで監督やコーチに名指しで怒鳴られ、それに対し「はい」を繰り返す。そうして何度も目元をぬぐう姿。(そのしぐさが汗をぬぐっているのか、それとも涙なのか、そこまではわからない)
今よりもっと細い彼に、その1本線の入ったユニフォームは、あまりに重かったのでしょうか。劣勢になったりトスが乱れたりすると、すべてのボールが久原くんに託される。何度も、何度も。相手もそれがわかっているから毎回ブロックは3枚。それでも決まるまで、何度も何度も彼は飛ぶ。
そうしてようやく決まった1点に、ヨッシャー!ともならない。か細い息を吐いて、すこし安堵の表情を浮かべるだけだ。そしてすぐにポジションにつく。
しょうじきね、誰だこれは、っておもった。あまりに、いまの彼と違いすぎるから。
確かにいまの彼も細く(華奢ってわけじゃないけど)、白く、儚い印象を受けるけど、いつもニコニコしているから。仲間と笑い合うから。強豪校だけど、キャプテンだけど、彼はバレーが好きなんだな、楽しいんだな。そうおもってた。でも市尼の彼は、1ミリも楽しそうではない。仲間は、笑っているのに。
わたしが見たのはこの試合のみなので、ほかの試合ではもっと生き生きと楽し気にプレーしていることもあったのかもしれない。ただ、現在の温和な笑顔の久原くんしか知らなくって、市尼時代の彼を見たから。なんだかとても驚いたのだ。
なんて、なんてしんどそうにバレーをするんだってつらくなった。東洋時代の柳田くんを見たときも同じこと思ったけど。
たぶん、ショックだった。いまの柔らかな優しい彼が、市尼のときにもいるものだと思ってたから。今の彼だけ見てては、彼のこの暗い部分に、触れることはなかっただろう。
とてもショックで、そうして、彼がいまだバレーを続けてくれていることがとてもうれしくて、誇らしくて、ありがとうって何度も感謝した。
やっぱり楽しそうにプレーする今の彼が好きだけど、そんな彼がいるのは市尼時代くるしんだ彼がいたからこそ。腐らずにバレーを続けてくれてる彼が。幾度となく叩かれてきただろうに、みんなに柔らかい笑顔を向ける彼が。ほんとうにすきだ。過去ごとすきだ。っておもった。彼のやさしさはつよさなんだな。ありがとう。バレーを続けてくれて。わらってくれて。


しかし思ったけど、わたしは学生時代バスケをしていて、当時は部活が楽しいなんて思ったことなかったなーと!コーチに怒鳴られ、ボールあてられたり叩かれたり(今思うと体罰レベルの!笑)、トイレで吐いたり、トイレの水飲んだり。
そう思うと高校時代の柳田くんや久原くんをみて嘆くのは少しちがうのかな。彼らはただふつうに部活動をしてただけなのかも。強豪校ってなだけで。でもね、柳田くんが修学旅行いったことないって言ってて、ウッ・・・ってなったんだよ・・・。どんな学生生活だよ・・・。久原くんもなんだろうなあ。

東洋の柳田くんも見てて、もうやめてっ!っておもうほど張り詰めた糸のような危うさを感じるんだけど、柳田くんは、まだ”報われたひと”なんだろうなあっておもった。春高で優勝して、その苦しさもすこしは報われたでしょう。でも久原くんのような”負けたチーム”も必ず存在するから。つくづくシビアな世界だよな、スポーツって。
まあ、でも久原くんでさえ報われているほうなのかもな。実際彼はユースだったりジュニアだったり選ばれているわけだし(主将だし)。
「おまえは報われているのか」って言われると、「いえ全く」だし。そうか普通に生きていたって報われないか!


という久原翼語りでした。
いまは笑顔の久原くん!とかめっちゃ言ってるけど、たまに影を落とす彼をいまも見るよね。当時の面影。プレッシャーと戦うひとの凛とした顔をしているときが、ある。
明日の天皇杯ブロックラウンドでは、たくさんの笑顔がみれるといいな。観る機会はありませんが!涙!