あいのけもの

映画みたいな風景のこと、嘘みたいだろう?

さよなら、かわいい夢

まだなにひとつ感情の整理がついてないけど、いまここで、このきもちで吐いとかないと記憶が薄れてしまいそうなので。
支離滅裂でも、いまこの瞬間のこの感情を残しときたいっておもったから。
全日本インカレについて。
(偏見にまみれた感想が飛び交います。そう思って読んでいただければ)


このブログにも書いているけど、秋のアジアカップ
そこでわたしはひとりの選手を好きになった。
すこし細身で猫背な彼は、U23の代表のなかでキャプテンをしていて、その凛とした横顔とか、仲間が決めたときに向ける柔らかい笑顔とか、気づけば目で追ってる自分に気が付いた。そうして、「あ、わたしはこの子のことすきなんだな」っておもった。
彼の名前は久原翼といって、東海大学の4年生で、そこでもキャプテンをしている子だと知った。
おとなしそうなタイプだけど(性格もプレーも)、彼にはどこでもキャプテンを任せられるだけのキャプテンシーがあるんだろうな。それはどんな形のものなのだろう。それを知りたいと思った。

そうして東海大の試合をみるようになった。
ちょうどそのとき関東秋季リーグの最中だったので、配信されている分はすべて何度も観たし、過去のものも観れる分は全部観た。去年の天皇杯も。
東海大って強いはずなのに、強豪!って感じはなく、どの試合も快勝!ってよりも、みんなでもぎ取った一勝、って感じだなっていうのを感じた。だから彼らの試合はどの試合も面白いんだろうなあと気づいたのはしばらく後だけれど。
はじめの円陣とかも強豪感がないなって。それはみんなにこにこ楽しそうで、その中心では誰よりも柔らかく笑うキャプテンがいるから。ずっとこのチームを見ていたいなあって、毎回そう思うチームだっておもった。


そんな彼と彼らの集大成。全日本インカレがはじまった。

わたしはどうしても今の東海大を見たくて。東海大のキャプテンをやっている久原くんを見たくて。プレミア行ったらそりゃたくさん見る機会はあるんだろうけど、どうしてもいま。あの鮮やかな青いユニフォームをまとう彼を見たくて。じゃないと後悔するぞって。
で。チケットオークションに手を出してまで行きました。愛知まで。

決勝以前の感想?はまた別に書きにくるかも。まずは決勝について吐き出したくて。



12/3 決勝 vs中央大
アップの最中から、わたしは微動だにせず、久原くんや東海大のみんなの姿を追い続けた。石川くんのプレーも生で見たことがなくてそれも楽しみだなっておもっていたにも関わらず、一度も石川くんのほうを見ることがなかった。そのぐらい一瞬も逃さないよう、彼らを見続けていた。
前日の準決勝で、途中から久原くんはあまり笑っていなかった。かたい表情を浮かべていた。
決勝ともなると、もっと固い表情になってるんじゃないかって思ってたけど、この日はずっと笑顔だった。よく笑い、よく声を出していた。ただ、ずっと寒そうに手をあたためていたことが、いま思うと緊張の表れだったのかなともおもう。
試合開始。
しょっぱな、石川くんのサービスエース。湧き上がる歓声。どよめく会場。そこでわたしは、あ、この場には石川祐希を見に来た人ばっかりなんだって知った。それぐらいの歓声だった。言うなれば日本代表と外国の試合を、日本でしているような。
もちろん1階の応援席では、塩田くんたちが声を枯らしながら応援していたけども。
1-0。石川くんのサーブはつづく。
どうにかレセプションしたボールが中大のコートへ。そして大竹くんのスパイク。
その重いスパイクが松林くんの顔面に直撃。倒れる松林くん。そしてそのまま立ち上がれない。
たぶん、はじめのサービスエースは、そんなことなかった。たぶん、この2点目で東海大は揺れたんだ。エースの片翼である松林くんが立ち上がれない。なんとか立ち上がったけどずっと痛そうだった。脳震盪とかだいじょうぶだったんかな、あれ…。
そのときにはもう、東海大はあの空気に。あの雰囲気に。飲まれていたんじゃなかろうか。
そのまま立て続けに点を重ねられ(怒涛すぎて内容は覚えてない)、7-0。その間にタイムアウトもとった。声も出していた。あとはもうどうすればよかったんだって状態だった。
そのままいつもの東海大らしさはなく、大差のまま1セット目を落とす。
2セットの立ち上がりもまだまだ硬かった東海大。そんななか、要所要所で久原くんがキャプテンらしく相手の流れを切ろうとはしていたけど。前日の勢いが嘘のように、だれひとりとして好調な人がいなかったように思う。こんな東海大をみたのは、わたしははじめてだった。
2セット目もあっさりと中央大がとる。セット間に久原くんが手をたたき、「こっからこっから!」って大声で叫んでいたのが、ベンチの反対側の2階にいたわたしにまで聞こえた。
あ、彼は、彼らは、こんな状況下で、だれひとり諦めてなどないんだなって。だれもが石川祐希を見てるなか、彼らは決して腐ったりなどせず、前を見ていた。
3セット目。おそらく少しだけ気の緩んだ中央大と、おそらく少しだけ目が覚めた東海大
久原くんの「こっから!」という言葉通り、ここから東海大の快進撃がはじまった。
いままで東海大の試合を見ていて、久原くんはスパイクもいいのに、あまりトスが上がらないイメージがあった。
それはほとんどのレセプションをしているってのと、攻撃力の高い松林くんや伊藤くん、センターふたりがいるからってのがあるのかなって思っていたりして。
久原くんに上がるときは、ここぞっていう場面や苦しい場面。そういうときに彼は必ず決めにいってくれるから攻守の要なんだなって思ってはいたのだけど。
松林くんや伊藤くんよりもトスが上がるのは少ないなあと感じていて。
それはたぶん、すべてを久原くんに背負わせないぞという、東海大の暗黙の了解だったのかもなって、この試合を観ておもった。
この日もだけど、彼に上げれば決めてくれる。1回で決まらずとも何度もトスを上げれば最後には必ず。でもそうすれば彼の負担は相当なものになる。だから龍くんはボールを散らして、極力、久原くんに上げないようにしていたんじゃないか。って、そう思った。
でもこの1戦、中盤から久原くんにボールが集まった。
守備ももちろん、ブロックも要所要所で決めていて。まさに鬼気迫るプレーで、調子の上がらないみんなを牽引していた。
それに対して、じわりじわりとみんなが応えていく。
3セット目はいつもの東海大のような粘りのバレーが見れた。
4セット目の調子も悪くなかった。3セット目か4セット目か忘れたけど、松林くんが1枚で石川くんのスパイクをドシャットしたのは鳥肌すごかった。あんときは歓声が沸いたね。
24-24。ああデジャブ…とおもった。(準々決からデュースの応酬だったから)
でもデュースを幾度となく戦い抜いてきた彼らだ。だいじょうぶ、きっとだいじょうぶ。
もはやわたしは祈りに近いきもちで観ていた。願いよりも不確かな。
スポーツにタラレバの世界はない。いや、ふつうでもないけど。
あと1点。あと1点さえとれれば4セット目は東海大がとって、フルに持ち込めた。
フルになれば東海大が勝てる、そういう自信がなぜかあった。
だって東海大は全員バレーだから。だれかがずば抜けてるわけでも、誰もが最強なわけでもないから。粘って繋いで戦うから。だからフルになったらきっと勝てるって。
デュースのさなか、龍くんは積極的にミドルを使っていた。元々よくミドルを使う子ではあるけど(セッターとミドル2人が同学年で信頼もあるだろう)、この日はあまり機能していなかったようにおもう。
でもデュースの1歩も引けない状況でクイックを使いまくる龍くんの強気さ。+ふたりへの信頼。
ここでミドルふたりを使いまくってたのも、5セット目を見越してだったんだろうなあとおもう。
4セット目終盤でこれだけセンター戦使ってれば、5セット目サイドが楽になる。だからここでセンターを使っていこうって考えてたんじゃないかな。憶測ですが。
さいご、の神谷くんのクイック。が、アウト。それで試合終了。
久原くんは膝に手をついたまま顔を上げられなかった。ユニフォームで何度も顔をぬぐっていた。そのあとふらーっと隅っこに行ってひとり静かに泣く久原くん。(永露くんが声をかけたそうにそばにいって、ひと言ふた言話していたような)
そのあと中央大はコート中央で胴上げとかして喜びを爆発させていた。
久原くんは壁にもたれかかって、その光景を見つめていた。
周りの選手がストレッチしてるなか、ずっとその光景を立ったまま見ていた。呆然、と言ったほうがいいかも。
後輩(だったと思う)がタオル敷いて、ここでストレッチどうぞって久原くんに声かけたら、小さく微笑んで首を横に振って、そうしてやっぱり喜ぶ中央大を見つめていた。(その姿がかなしくてかなしくて未だに思い出す)
そのあと我にかえったのか、試合に出ていた3年生トリオに声をかける久原くん。
4年生よりも3年トリオが泣いてたのがもう泣けてしまって仕方なかった。
特に龍くんが立ち上がれないくらい泣いていて、いつも飄々としている彼が泣きじゃくっていて。…計り知れない。
そんな彼のそばに行き、ぽんぽんして笑いかけるキャプテン。
同じように神谷くんや小野寺くんにも。
そしてまた同じように松林くんや井上くんも3年生に声をかけにいく。
4年生トリオは特にお互い声を掛け合っていなかったように思う。見てなかっただけかな、?
久原くんと松林くんは、なんて言葉を掛け合ったんだろう。試合後しゃべっていなかったようにおもうけれど。どこよりもだれよりも深い絆のふたりが、この試合を終えて、どんな思いで、どんな言葉で、はなしたのだろう。私たちの見えないところで。知る術などないけれど。


表彰式での久原くんと松林くんはもはやすっきりした顔をしていて、わたしがずっともやって泣いてるのが惨めになるくらい、さわやかだった。
ふたり隣り合って、よくしゃべり、よく笑っていた。そんな姿にも泣けたんだけども。
ふたりの間には、ありがとうもごめんも、なかったのかもしれない。
言葉じゃ、なかったのかもしれない。
ブロック賞で久原くんの名前呼ばれたときうれしそうだった。ほかのみんなもうれしそうで、キャプテンあいされてるなあ。
前に出たとき、同じくスパイク賞で前に出ていた神谷くんと微笑みあったのが素敵だった。なんとも言えない空気がそこにはあった。
そして敢闘賞とブロック賞のふたつのトロフィー?を持ちにくそうにしていて、持ち直してる久原くんの姿を見て笑っていた松林くん。
なんだよ東海大。平和かよ。って。負けて、こんなにも穏やかなのかよ。って。
「負けた彼らは、どういう風なのだろう」――東海大は、負けても東海大だったよ。
それがなんだか誇らしかった。

しょうじき、試合を観ていたとき。
来なきゃよかったって。あの石川祐希への大歓声とそこばかりを取り上げるメディアと、そんなものを頭では分かっていたけど、本当に理解していなかったから、目の当たりにして大層ショックを受けた。来なければ、知らずに済んだのに、って。
果たしてあの場にいたどれだけのひとが、東海大学東海大学として認識していただろうって。
それは別に選手ひとりひとりを把握しろってことではなく。
彼らを石川祐希の3連覇のために用意した対戦相手、ではなく、彼らもまた優勝を目指してずっと努力し続けてきたチーム・選手だってこと。そんな風に、見てくれていた?
スポーツ関連の記事やニュースを一切見ていないけど(分かりきっているから)、そんな風に東海大を取り上げたところはあった?
前々からおもうところはあったけれど、今回、あらためて色々なものが見えた。そして嫌気が差した。
ううーん、これ以上いうとただの愚痴になってしまう。いかんいかん。失礼しました!


久原くんの周りからの評価は「キャプテンシーの塊」。
果たしてそうなのかな?っておもった。
彼は実は3兄弟の末っ子で、3月生まれ。(関係ない?…無きにしも非ず!)
あくまでわたし個人の意見だけど(実際の彼を知らないし)、彼のキャプテンシー。は、周りがつくってきたものなんじゃないかと、ふとおもった。彼が元々持っているわけではなくて。
それが悪いとか非難してるわけじゃない。そうではなくて、ただふとおもっただけ。
だって彼はふつうなら大人しい、ひとよりもちょっと器用なプレーヤーのはずなんだよね。それが強豪校や代表のなかでキャプテンを務める。それは、周りがそうありなさいと、彼を導いてきたような気がしてならない。でもそれはやはり彼にはそれだけの魅力がある、というのも事実。
そうして彼もそれに応えてきた。重くて投げ出したいときもあったでしょう。くるしんで「何故」って思うときもあったでしょう。それでも彼はキャプテンを全うした。


そんなこんなでパナ内定おめでとうございます。ますますファン増えちゃうなー。
東海大学の久原翼」を見れなくなるのはとてもとても寂しいけれど、もっと飛躍した久原くんを観たいのでやっぱり応援するしかないのです。
パナの発表もあったし、決勝後の東海大のコメントもあったりと、周りはいろいろと動き出しているので慌てて書きに来た所存。あの日のまま留まっていたわたし…
そしていよいよ今週から天皇杯。ほんとうに、いまの彼らを見る最後。
あの鮮やかな青色のユニフォームをまとう彼らを見る最後。
そうして次のステージへと羽ばたいていってしまう彼ら。
どうか、その道がわずかでもいい、交わっていますように。
辛苦を共にした4年間が報われますように。決して綺麗ばかりではない日々だったでしょう。
それでもやはり、わたしから見れば、それはもう眩いものなんです。
ありがとういつも。生き方を学んでいます。


***

っていうのを書いたまま放置でございました。天皇杯どころかリーグも終わったよっていう。(それも時間さえ許せば語りたい)
春季リーグがはじまって、新生東海大を見たのでここのブログの存在思い出して書きにきた。
小野寺くんを見ていてやっぱり1番とその下の1本線が入ったユニを背負うことはとても重くて大変なことなんだなあって感じた。これから1年かけてチームになっていくんだからそんなに背負わなくていいよ。笑って。って思いました・・・。

もうちょっとマメに書きにきたいですね。備忘録の意味・・・。尻切れトンボのまま終わる・・・。